岸田文雄首相が14日、自民党総裁選への不出馬を表明した。突然の事態に、政権を支えてきた霞が関の官僚には衝撃が走った。これまで進めてきた政策の転換を迫られるかもしれないからだ。
「出馬されるものだと思っていた。不出馬は、想像もしていなかった」
経済官庁の幹部は驚きを隠さなかった。とくにエネルギー政策は岸田政権が力を注いできた分野だ。2023年に閣議決定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」では、脱炭素を旗印に、「原子力を最大限活用する」と打ち上げた。
政権の後押しのもと、経済産業省は「原発促進」を進めてきた。慎重だった原発の新増設や、原発建設費を電気料金に上乗せして回収する新たな制度の検討にも着手した。岸田氏はこの日の会見でも、原発を軸とするエネルギー政策の転換について触れ、「大きな成果を上げることができた」と自賛した。
ただ、次の首相が、岸田氏の…